BABEL

その昔、神は人間を作り、1つの言語を与えた。人間は、天にも届く巨大な塔のある街を建設し、有名になってその地にとどまる事を考えた。そもそも、「地に満ちよ」と告げられたにも拘らず、神にとって代わって創造者になるべく塔を建設し始めた人間。それを見て神は激怒した。「今なら滅ぼさずとも、妨げてやることはできる。」そこで神は、人間の話す言語をいくつもの言語に分けて、意思の疎通が取れないようにした。互いに話し合えない人間達は、塔の建設を諦め、世界各地に散り散りになって行った。この塔をバベルの塔と呼ぶ。バベルの語源は、『バラル(混乱)』。

今でも本当は世界はつながっている。身近に起きた些細な出来事も、遠くの異国と何かしら関係があるような気がしてくる、そんな映画。その昔、人間は言語をバラされ、“言語が異なる”たったソレだけのことで、“人類はつながっている”という事を感じなくなってしまった。そして現在、言語の他にも、文化、宗教、政治を同じくする人間同士でさえも壁を作り合って生きている。自分達でつながりを絶ってしまっている人間達がリアルに描かれてる。些細な引き金からどんどん深くなっていく混乱。銃とチエコの存在がとても象徴的に思えた。


菊池倫子の演技力はヤバイ。異才。

監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イリャニトゥ

★★★★